世界線終点

形而上学や行為に関する(主に哲学的な)文献の読書ログ

形而上学

【要約】Wilson, J. (2009). Resemblance-Based Resources for Reductive Singularism

0. 導入 ヒュームの議論が今日でも影響力が高いとされるのは、二つの、伝統的にヒュームに結び付けられるテーゼが広く受け入れられているからだ。一つは、原因の効力が現実の還元不可能な特徴であることを否定する経験主義の立場、もう一つは、因果的還元主…

【要約】Raven, M. 2015 "Ground." Philospophy Compass

基礎づけ概念は二つのアプローチから同時に要請される。一つは様々な「なんのおかげで」という形式の疑問の共通点として、もう一つはある現象が他のより基礎的な現象から構築されるのはどのようにしてかということを説明するための「構築関係」としてだ。 2.…

Ehring, D(2011)."Tropes"/要約part.3

一章前半では例化関係に注目した3つの理論とアリストテレス主義的定式化を取り上げ、例化理論群が性質/個物の区別に陥ること、アリストテレス的定式化が反例に対応するため単純さを失うことを論じた。 今回はD. C. Williamsの類似性を用いた区別が最もふさわ…

Ehring, D(2011)."Tropes"/要約part.2

「適切な存在論にふさわしいのは普遍者ではなくトロープ」というのが第一部での主な主張だ。 第一章ではそのための下準備として普遍者と個別者を区別する作業を行う。個別的性質という特異的なトロープのあり方を許容する理論を探そう。

Ehring, D(2011)."Tropes"/要約part.1

このブログの最初の記事を、科学哲学者Douglus Ehringの2011年の著書の要約記事とする。 Douglus Ehringによる本書は、現代形而上学における「性質や物体は何であるか」という問にまつわる論争の一部をなすものである。性質は世界についての理解に欠かせない…